国連「持続可能な開発のための教育(ESD)の10年」の地域拠点『中部ESD拠点』

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中部ESD拠点(協議会)とは

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第1分科会(企業とNPO)

第1分科会(企業とNPO)の目的

 第1分科会(企業とNPO)は、世界に誇る「ものづくり」の知恵と歴史をもつ中部圏において、ESDの視点を基礎とする企業とNPOの連携を支援する分科会です。とくに自然との調和を強調する経済理念「グリーン・エコノミー」の実践モデルを提起し、「ものづくり・ことづくり・人づくり」の重要性を検討することを目的としています。具体的には、環境保全や人的資源の育成などに積極的な経済活動(CSR)や市民運動を展開している中部圏の企業とNPOが集まり議論する場(=アリーナ)を提供し、両者の叡智が結集した新たな連携の可能性を模索しています。

今年度の活動内容

 本年度、第1分科会(企業とNPO)では、「次世代に送る中部圏企業とNPOの未来」と題した連続ワークショップを3回開催し、中部圏の企業とNPOがお互いの活動や課題などを広く議論する場を提供しました。毎回テーマを設定して、テーマに関連する魅力的なCSRを展開している中部圏企業を二社招聘し、講演していただいた後、参加者のNPO団体と討議するグループディスカッションの時間を設けました。

【開催趣旨】

地球規模で起きているさまざまな問題を解決するためには、専門家による「専門知」だけでなく、それらの課題に具体的に対応している企業の「経験則」や、地域に根づいた活動を行っているNPOの「地域知」などを統合させていくことが重要です。希望ある次世代社会の構築に向けて、企業とNPOには、今どのような貢献が求められているのでしょうか?

今回の連続ワークショップでは、その初発の取り組みとして、企業の方から「ビジネスの発想」や「付加価値の創造」を取り入れたCSRの現状を、各テーマに沿って報告していただきます。そのあとディスカッションする時間をとり、企業とNPOの新たな連携の可能性などを参加者とともに考えてゆきます。

今年度の活動成果

 本年度、第1分科会(企業とNPO)では、「次世代に送る中部圏企業とNPOの未来」と題した連続ワークショップを3回開催し、中部圏の企業とNPOがお互いの活動や課題などを広く議論する場を提供しました。毎回テーマを設定して、テーマに関連する魅力的なCSRを展開している中部圏企業を二社招聘し、講演していただいた後、参加者のNPO団体と討議するグループディスカッションの時間を設けました。

連続ワークショップ「次世代に贈る中部圏企業とNPOの未来」

第1回「企業が取り組む環境保全の現在」(10月17日)開催報告

 第1回「企業が取り組む環境保全の現在」では、生活の木と清水建設株式会社から講演者をお招きし、環境保全に関する企業の取り組みを事例報告していただきました。その後NPO団体を交えながらグループディスカッションを行いました。

第2回「企業が取り組む農と食の現在」(11月14日)開催報告

 第2回「企業が取り組む農と食の現在」では、フジパングループ本社株式会社と萩原チキンセンターから講演者をお招きし、農と食に関する企業の取り組みを事例報告していただきました。その後NPO団体を交えながらグループディスカッションを行いました。

                     

第3回「企業が取り組むものづくり技術の現在」(12月12日)開催報告

 第3回「企業が取り組むものづくり技術の現在」では、矢崎エナジーシステム株式会社と東海ゴム工業株式会社から講演者をお招きし、環境に配慮したものづくり技術に関する企業の取り組みを事例報告していただきました。その後NPO団体を交えながらグループディスカッションを行いました。

ユネスコ世界会議に向けて

 企業とNPOの連携事例がまだ多くない状況のなかで、これまでの分科会活動では、双方が集まり議論する場作りを企画し実施し、相互理解を深める成果をあげることができました。グループディスカッションでは、両者の連携を考えてゆくためには、組織の脆弱さや資金面の不足などの問題を抱えるNPOの組織力を高めてゆく必要性や、NPOの活動を企業が持続的に取り込むにはどんな発想が必要なのか、などが議論されました。今回のワークショップでは企業が社会や環境に対して付加価値を高める努力と模索を重要視していることが明らかになりました。これは、CSRからCSVへの転換と言えます。しかし、分科会活動としては、具体的なモデル作りや提案に至っていない点が課題であります。

ユネスコ世界会議に向け今後は、これまでの議論を踏まえたうえで、①企業とNPOの連携の事例作り、②持続可能な社会やESDの活動に関心のある企業やNPOの情報が閲覧できるプラットフォーム・ネットワーク組織づくり、③企業とNPOのESDを推進するために産官学民のセクター間のコミュニュケーションと協働の場、などが期待されています。第1分科会(企業とNPO)は、その触媒となるべく中間支援組織としての役割を考えてゆきたいと考えています。

また中部モデルの構築に向けては、下記のようなテーマを設定することを現在、分科会内で検討しています。

  1. 伝統知から学び引き継いでいる先進的なものづくりの持続可能性自動車産業から地場産業まで多様なものづくり、ことづくり
  2. 企業の社会的責任CSR(Corporate Social Responsibility)から地域拠点の市民、NPO、産官学民との協働による共通価値の創造CSV(Creating Shared Value)推進
  3. 企業、NPO、市民の創造的なイノベーションを支える先進的な学問、知の集積と実践的なスキルアップのよる人材の育成
  4. 低炭素・省エネルギー社会、都市を目指した持続可能な経済、社会へのチャレンジ、世界の人々との友好、知恵、技術の交流によるグローバルな中部ESD拠点